キングダム レビュー

作者: 原泰久 / ジャンル: 歴史・青年 / 出版社: 集英社

更新日: 2026年3月25日

★★★★★

作品データ

巻数既刊74巻(連載中)
連載誌週刊ヤングジャンプ
アニメあり(NHK)
実写映画あり

どんな作品?

紀元前3世紀の中国・春秋戦国時代。戦争孤児の少年・信は「天下の大将軍」になることを夢見る。同じ境遇から中華統一を目指す若き秦王・嬴政(えいせい)と出会い、壮大な戦いの渦に身を投じていく。

歴史漫画と言っても堅苦しさは一切ない。むしろ少年漫画のような熱さと、大河ドラマのような重厚さが共存している稀有な作品だ。信が一兵卒として泥まみれで戦う序盤から、千人将、五千人将、そして将軍へと階段を上っていく過程がひたすら熱い。

ここが面白い

  • 圧倒的なスケール感 — 数万〜数十万の軍勢がぶつかる合戦シーンは圧巻。見開きの迫力は漫画でしか味わえない。城壁を駆け上がるシーン、騎馬隊が突撃するシーン、紙面から音が聞こえてくるかのような迫力がある。
  • 実在の歴史がベース — 始皇帝による中華統一という実話をベースにしているため、史実を知ると二重に楽しめる。知らなくても全く問題ない。むしろ読後に中国史を調べたくなるのがこの作品の魔力だ。
  • 信の成長が王道 — 一兵卒から将軍へ。仲間を率い、大軍を動かすようになる過程が丁寧に描かれている。「誰よりも前に出る将軍」という信のスタイルが確立されていく様は、読んでいるこちらの背筋まで伸びる。
  • 名将たちの知略戦 — 王翦、李牧、桓騎など個性的な将軍たちの戦略がぶつかり合う。バトルだけでなく頭脳戦も楽しめる。特に李牧の冷徹な戦略と桓騎の型破りな奇策の対比は見事。
  • 嬴政の王としての覚悟 — 信の物語と並行して、嬴政が理想の王を目指す政治ドラマも重厚。加冠の儀や呂不韋との対決は、バトルシーンに負けない緊張感がある。
「俺は天下の大将軍になる男だ!!」――身分も後ろ盾もない少年が叫ぶこの言葉が、74巻かけて現実になっていく。それがキングダムという作品の凄さだ。

74巻もあるけど読める?

正直に言おう。74巻は長い。だが、読み始めたら「長い」とは感じない。それは断言できる。

キングダムには「合従軍編」「鄴攻め編」「朱海平原編」など、それぞれが独立した大きなクライマックスを持つ長編エピソードが連なっている。つまり74巻の中に複数の「完結」がある構造だ。1つのエピソードが終わるたびに達成感があり、そしてすぐ次のエピソードが気になって止められなくなる。

もし不安なら、まず5巻まで読んでほしい。王都奪還編が終わる頃には、残りの69巻が「足りない」と感じるようになっているはずだ。実際、キングダムの離脱率は序盤を超えた読者ではかなり低い。74巻の長さは「長すぎる」のではなく「74巻分の楽しみがある」ということだ。

こんな人におすすめ

  • 歴史が好きな人
  • 壮大なスケールの物語を求めている人
  • 三国志が好きな人(それ以前の時代)
  • リーダーシップや組織論に興味がある人
  • 読み始めたら止まらない作品を探している人

まとめ

70巻を超える大長編だが、読み始めると止まらない。歴史漫画でありながらエンターテインメントとして完成されており、老若男女を問わず楽しめる。映画化もされたが、原作の持つ熱量と繊細さは漫画がダントツ。長いからこそ味わえる積み重ねの感動がある。信と嬴政、二人の少年が「天下の大将軍」と「中華統一」という途方もない夢を同時に叶えていく物語。それを74巻かけて追いかけられる我々読者は幸せだと思う。

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